飲み屋における誕生日というのは、不思議な日だと思う。
その日になると、普段は見えない人の本音がやけにはっきりと見えてくる。
長く飲み屋のママをしていると、お客様の男性はだいたい二種類に分かれると感じる。ひとつは良い事ばかりよく喋る男性。もうひとつは、何も言わない男性。
よく喋る男性は、たいてい優しい言葉をくれる。「今度ゆっくり行こうね」「誕生日は絶対顔出すよ」「君は特別だよ」。聞いていると気分はいい。でも、いざその日になると来ない。理由はいくらでも並べられる。忙しかった、タイミングが合わなかった、また今度埋め合わせするよ、と。どれももっともらしく聞こえるけれど、本質はひとつしかない。優先順位が低いのだ。
一方で、来る男性は違う。特別なことは何も言わないし、事前に大げさな約束もしない。それでも当日になると、当たり前のように顔を出す。遅れてでも、短い時間でも、ちゃんと来る。その行動に、すべてが表れている。たとえ来店できなくても,その理由を伝えて,女性を不安になせない。
ぐっどうぃる博士の理論で言えば、男の好意は言葉ではなく行動でしか測れない。これは本当にその通りだと思う。言葉はほとんどコストがかからない。気分さえ乗ればいくらでも言える。でも行動には時間もお金も労力も必要になる。つまり、行動している時点で、その人の中での優先順位がはっきりと出ているのだ。
それなのに、多くの女性は逆のことをしてしまう。来ない男性の言葉を何とか信じようとして、来てくれる人の存在を「普通のこと」として流してしまう。本当は逆で、来るという行動そのものがすでに価値なのに、それを見落としてしまうのだ。
誕生日に来る男性は、ただ義理堅いだけではない。その関係を大切にしているし、自分の言動に責任を持っている。つまり、安心できる相手というのは、こういう人のことを言うのだと思う。
そして,お店との関係を大切に想ってくれる方とそうでない方も,行動に現れる。
大切に想ってくれている方は,突発的に大金を使う人でも,耳障りの良いことを言う人でもない。相手(お店)が困るような事をしない人だ。
お店は星の数ほどある。少々好き勝手して気まずくなっても,他のお店に行けば良い。これは男女の恋愛も同じだと思う。
結局のところ、恋愛で見るべきものはとてもシンプルだ。何を言ったかではなく、何をしたか。何をしないか。どれだけ気の利いた言葉を並べても、行動が伴わなければ意味はない。逆に、たいしたことを言わなくても、長期的に相手に誠実でいる事の方が難しい。
だから、もし迷ったときは思い出してほしい。あなたの前にいるのは、あなたが彼を必要としている時に「側にいる男性」か「側にいない男性」か。そして「貴方が悲しむ事をしない」か。その点だけで、答えはほとんど出ている。
自分の限りある命,限りある時間を注ぐ相手を間違えてはいけない。
そこを見誤らない事で、恋愛も商売も驚くほど穏やかで、楽になる。
